
こうして、ヘルニアについて考えるのはなぜなのでしょう。 これは、以前にご紹介いたしました「横隔膜ヘルニア」の一種と思っていただければ良いと思います。ですが、完全に分けてしまうと、飲食物が胃や腸まで降りていけなくなりますし、血管なども全身を循環しなくなってしまうということになります。それで、横隔膜には、食道や太い血管を通すための孔が開いているのでしたね。そうです。この食道が通っている孔が食道裂孔というものなのです。
そしてこの孔から、本来ならば腹腔内にあるべき胃の一部が胸腔側へ脱出している状態を食道裂孔ヘルニアと言うのです。他にも、喘息もちのかたや、慢性の気管支炎のかたなど、頻繁に咳をするような病気のかたは、腹圧が上昇しやすいですから食道裂孔ヘルニアになりやすいのです。しかし、このヘルニアはなんらかの不快な自覚症状がない限りは、ただ胃が上部に飛び出しているというだけで、問題はありません。この鼠径ヘルニアに非常によく似た症状なのが、本日、ご紹介いたします「大腿ヘルニア」なのです。これは、その名前からも想像がつくと思いますが、大腿部の大腿輪という部位から内容物が脱出するヘルニアのことを言います。
まず、ヘルニアが出来る場所に関してみてみますと、鼠経ヘルニアの方は、大腿部・・・つまり足側と下腹側とを分ける線である鼠経部の下腹側に出来るのですが、大腿ヘルニアのほうは、その名前通り大腿部側に出来るのです。また、鼠経ヘルニアになりやすいのが男性であるのに対して、大腿ヘルニアの方は、女性・・・中でも出産経験を持つ中年以降の女性に多く見られるのです。その理由としましては、出産や加齢によって大腿部周辺の筋肉が衰えやすいことが挙げられますでしょう。もうひとつは、女性は男性に比べて、大腿部の動脈が通る大腿管が広いため、腸や卵巣などが入り込みやすいということが挙げられると思います。それを「嵌頓」と言いますが、これについてはまた次回、詳しい説明をすることにいたしましょう。